先日のクラシック音楽館(Eテレ 日曜 午後九時)では、指揮者のパーヴォ・ヤルヴィさんが、ラヴェルのダフニスとクロエの最後「全員の踊り」では、「夜明け」からフツフツと湧き上がった音が集まって、大きな騒ぎとなりエロティックに盛り上がります。と、とても熱く語っていたので、楽しみに聴いていたのですが、最後まで聴いてもラヴェルのエロティックに反応できず。一体どこがエロティックだったのかサッパリ分からないまま曲が終わってしまいました。相変わらずラヴェルとの距離を縮められない私…。もっと分かりやすく言ってくれないと分からない。悲しい。
でもめげずに、もう少し仲良くなりたいんだ!と今日もう一度ダフニスとクロエを最初から最後まで聴いてみました。イヤフォンで聴いたらなにかキャッチできるかも!と期待しつつピエール・ブーレーズ指揮のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団+ベルリン放送合唱団の演奏を聴いてみました。いやー。最初から最後まで異次元ワールド。すごいです。盛り上がる時はいつも突然で。盛り上がった先の響きに一気に飲み込まれちゃうみたいな感じなんですね。ゾワーーっとしました。合唱が入っている方が凄みが増しますね。怖い。不気味ですらある。お腹の奥のほうをギュイーンと掴まれて、あ、吐くかも、ってなります。でも、なるほど。こういうエロスもあるのかー。と少し納得。「順序だてて盛り上がるのってダサくない?分かりやすいイイ感じのメロディー攻めってのも能がないしね。」という人達が楽しむ音楽なのかなとも思うんだけど、もうそんな事すら考えてない、そういう世界とは無縁の「私達、一瞬の響きでイケるんで。」の人達の為の音楽。かな?(なんだそれ。)
しかし何だかよく分からんながらも、これは、癖にはなりそうです。他の音楽を聴いていて「宙ぶらりんでユラユラしてたかと思ったら、突然色と香りのゴッチャまぜな細かい水滴のような音にウワッと囲まれて霧の中にたたずむ」みたいな感覚になるってあまり無いですから。こんな世界にフッと身を任せて浸りたくなるってのは分かる気がします。もう少し聴いてみたら、突然に思えた盛り上がりにもなにか予兆のようなものを感じたり、また違った景色が見えたりするのかもしれないですね。相変わらず私にとっては不思議なラヴェル君ですが、ほんの少しだけ「付き合い方」を学べたかな(いや、まだかー)。いつかお友達になれるといいな!
↓以前書いた私の中のラヴェルのイメージ
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」全曲 ロンドン交響楽団&合唱団 指揮:クラウディオ・アバド
ダフニスとクロエ wikipediaより
第1部 パンの神とニンフの祭壇の前
- 序奏~宗教的な踊り
- 全員の踊り
- ダフニスの踊り~ドルコンのグロテスクな踊り
- 優美な踊り~ヴェールの踊り~海賊の来襲
- 夜想曲~3人のニンフの神秘的な踊り
- 間奏曲
第2部 海賊ブリュアクシスの陣営
- 戦いの踊り
- やさしい踊り
- 森の神の登場
第3部 第1部と同じ祭壇の前
- 夜明け
- 無言劇
- 全員の踊り