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英語ネタ、音楽ネタ、その他諸々雑記にて。英語ネタでは英検やGTECのライティングを中心に投稿。

日本人の「我慢」を英語で表現すると?

BBCに日本人の「我慢」についての記事がありましたので、どんな風に英語で表現されていたのか紹介したいと思います。「我慢」を英語で説明したい時に使える表現が相当詳しく沢山出てきます!
www.bbc.com

 

「我慢」を一言で表現すると?

「我慢」はperseverance(辛抱強さ、忍耐)で表現されることが多いですね。今回のBBCのタイトルもこのように表現されています

The art of perseverance (辛抱強さの芸術)

 そしてもう一つ。今回は gaman と日本語の「我慢」の音をそのまま英語にして使っています。 記事の中では gaman は名詞として使われたり、動詞として使われていました。興味深いですね。

例)Every child in Japan is taught to gaman: to patiently persevere in tough times.

(日本の子供は我慢する事を教えられる:こんな時に辛抱強く耐えることを)

ここの gaman は動詞扱いですね。

例)The whole idea of gaman-ing here is completely maladaptive.

(今の時代では、我慢する事に対する考え方全てが全く(社会に)適応していないのです)

ここでは gaman-ing と動名詞のように使われています。

海外から見る「我慢」

外国の方は日本人の「我慢」にしばしば驚かされるそうです

  Visitors from abroad are often surprised by people’s willingness to wait patiently for transport, brand launches and, for example, aid and assistance after the devastating Fukushima earthquake and tsunami, which occurred eight years ago last week.

 (外国から訪れる人々は、交通機関やブランドのオープン時に、人々が快く辛抱強く待つ姿にしばしば驚かされます。8年前の先週起こった福島の壊滅的な地震と津波の後の救援を待っていた時などもそうです。)

 

ここでは「我慢」の様子をこのように表しています

willingness to wait patiently for ~

※be willing to do~ 「快く~する」ですので、ここは「快く(いやいやではなく)、辛抱強く~を待つ」という言い方ですね。まあ、そうねぇ。嫌ですけどねぇ(笑)。

 

「我慢」とは何か?

「我慢」についての説明が入っています。

it’s the idea that individuals should show patience and perseverance when facing unexpected or difficult situations, and by doing so maintain harmonious social ties.

(「我慢」とは、個人が予期せぬ、または困難な状況に置かれた時に、辛抱強さや忍耐を見せるべきだという考えです。そしてそういう事をすることによって、協調的な社会的結束を維持する事です。)

 

おぉぉ!なんと素晴らしい説明なんでしょう。これはこのまま覚えてしまいたい表現です。「我慢」は「個人」に課された社会通念という事ですね

 

●覚えておきたい表現●
patience 辛抱強さ
perseverance 忍耐
harmonious social ties 協調的な社会的結束

 

そして、以下のように続きます

The concept implies a degree of self-restraint: you put the brakes on your feelings to avoid confrontation. It’s an expected duty and seen as a sign of maturity.

 (そのコンセプトはある程度の自己抑制を暗に意味します。衝突を避けるために自分の感情にブレーキをかける。それは暗黙の義務のようなもので、成熟した証としてとらえられます)

 

まさにその通り…。そして字で説明されると「我慢」の恐ろしさが身に沁みます…。

 

●覚えておきたい表現●
self-restraint  自制
put breakes on one's feelings 感情にブレーキをかける
expected duty 期待される(暗黙の)義務
maturity 成熟

  

次のようにも表現されています

 a set of strategies to deal with events outside our control. 

 (自分のコントロールできる範囲外で起こった事をうまく扱う一連の方策)

 

なるほどねぇ。「自分でどうにもできない事にいちいちバタバタしないための方法」
なんですね。

「我慢」のルートは?

この「我慢」の精神ってどこからきたの?と海外の方は疑問に思う事も多いと思います。「我慢」のルートとして以下のような説明が入っています。

 Japanese people value not saying too much and suppressing negative feelings toward others.

( 日本人はあまり沢山ものを言わない事、そして他人に対する否定的な感情を抑え込むことを評価します)

 

ですね。日本人は基本的に「自己を表現する」ことに積極的ではないんだよね。

 

●覚えておきたい表現●
not saying too much あまりものを言わない事
suppress 抑える

 

そして「我慢の訓練が幼少期から始まる事」「我慢の及ぼす短期的、長期的な影響」についての表現が続きます。

Patience and perseverance are also part of education, starting in primary school. “Especially for women, we are educated to gaman as much as possible,”

(辛抱強さや忍耐は教育の一部でもあります。そしてそれは、小学校の頃から始まります。特に女性は、出来得る限り我慢をするように教育されます。)

※ここでの gaman は動詞として使われています

 

●覚えておきたい表現●
be educated to ~ ~するよう教育される
as much as possible 出来得る限り沢山

 Gaman can manifest over the long-term, like staying in an unpleasant job or tolerating an annoying colleague, or short-term, like ignoring a noisy passenger or an elderly queue-jumper.

 (「我慢」は長期的には、嫌な仕事を続ける、面倒な同僚に耐えるなど、短期的には、うるさい乗客や年を取った列を乱す人を無視するという形で現れます。)

 

●覚えておきたい表現●
unpleasant job 嫌な仕事
tolerate 耐える、大目に見る
annoying colleague 面倒な同僚
ignore 無視する
queue-jumper 列を乱す人
※queue 「列」にジャンプして入ってくる みたいなイメージですね

 

「我慢」の起源と時代背景

「我慢」がどのように美化されてきたか、そもそもの起源やその後の時代背景の説明がされています。

起源

Gaman originated in Buddhist teachings about bettering oneself before gradually being shaped into a perseverance mechanism for individuals navigating membership of social groups.

(「我慢」は仏教の教えに基づきます。個人が社会的なグループのメンバーなるために忍耐のメカニズムを徐々に取り入れるために自己をより良くするという教えです。)

 

起源は仏教なんですね。「我慢」は自分を「より良くする」ための教え。なんですね。

 

●覚えておきたい表現●
better oneself 自己をより良くする

 

その後の時代背景

 It was honed during Japan’s post-war economic boom when work took on the status of nation-building – meaning sacrificing time with family for long hours in the office.

 (「我慢」は、仕事が国民のアイデンティティ形成を負っていた戦後の経済成長の時代に重宝されました。それは、家族と過ごす時間を仕事に長時間捧げるということを意味しています。)

 

敗戦後、日本はどこへ向かえばいいのだろう。という思いを持っていた人も多かったと思います。戦前に教えられたことが全て否定された状態で前に進んでいかなければならなかったわけですから。そんな中「日本を経済的に発展させよう」という方向に社会が進んでいったわけです。仕事に邁進することによって、新たなアイデンティティを形成していこうと。そういう状況下で「自己犠牲」を良しとする「我慢」の精神を美徳として取り入れることは社会全体の流れだった、と言えるかもしれませんね。

 

 

 

●覚えておきたい表現●
post-war economic boom 戦後の経済成長
nation-building 国民のアイデンティティを作り上げる

 

※nation-buildingは以下のような意味で使われています

 Nation-building is constructing or structuring a national identity using the power of the state.(wikipediaより)

 (nation-building は国家の力を使って国民のアイデンティティを作り上げることです)

 

「我慢」の良い所と悪い所

良い所

  the mutual surveillance, self-monitoring and public expectations associated with gaman are a contributory factor in Japan’s low crime rate. 

 (「我慢」に関連した相互監視、自己監視、そして広く知れ渡った期待(暗黙の了解)は日本の犯罪率の低さに貢献しています。)

they don’t get fired from work or can gain from continuing relations with people around them.

(人々は仕事をクビにならないし、周りの人々と良い関係を続けていくことから得るものがあります。)

 

「我慢」が社会に及ぼす良い影響、と個人が受ける利益、が述べられていますね。

 

●覚えておきたい表現●
mutual surveillance 互いに監視し合う事
self-monitoring 自己を見つめる事
public expectations 広く知れ渡った期待(暗黙の了解)
low crime rate 低い犯罪率

 

「 暗黙の了解」は unspoken rules (話されない規則)とか to read between the lines(行間を読むこと)などと表現されることもありますね。

 

悪い所

Many people in Japan expect others to guess how they feel, rather than express themselves directly, and sometimes the pressure can mount.

 (日本の多くの人々は、直接自分自身を表現するというよりも、他の人々に自分がどのように感じているか慮って欲しいのです。そして時にそういったプレッシャーが募っていくのです。)

 

本当にねぇ。暗黙の了解の恐ろしさよ。日本人としてずっと生きていると、もはや「どれが暗黙の了解で我慢させられてるのか」分からなくなってしまう感じすらありますよね。

 Too much gaman has a negative impact on our mental health,” she says. “Sometimes when people hold too much negativity, the gaman can convert into psychosomatic disease.”

 (あまりにも我慢しすぎると、私たちの精神状態に悪い影響を与えます。あまりにも否定的なものを抱えすぎると、その「我慢」が心身の病気に変わります(病気を引き起こします))

Asking for help with mental health is often seen as failure, says Odagiri. People are expected to manage by themselves. But sometimes this doesn’t work and leads to angry explosions, which can result in domestic or workplace violence.

(精神的な健康の為に助けを求める事が「落第」と見なされる事が、しばしばあります。人々は自分自身で(自分を)管理する事を求められます。しかし、上手くいかない時があり、怒りの爆発を引き起こします。そしてそれが家庭内暴力や職場での暴力として現れます。)

 

こういった記述を外国の方が読んだら「ひえ~、こわ~!」って思うでしょうね。だって私自身も読んでてそう思うもん。でも、実際、これは「あるある」ですよね…。

 

●覚えておきたい表現●
expect 人 to do  人が~することを期待する

have a negative impact on~  ~に悪い影響がある
convert into~ ~ 変形する
psychosomotic disease  心身の病気
ask for help 助けを求める

angry explosion 怒りの爆発
domestic / workplace violence 家庭内 / 職場での 暴力
 

「我慢」の昔と今

「我慢」に対する考え方が変わってきてますよ。という内容で締めくくられています。

 Thirty years ago, employment in Japan was for life. Traditionally, men worked long hours earning seniority in the company where they spent their whole career, while women were typically placed in non-promotion track jobs in preparation for leaving to raise children.

 (30年前、日本での雇用は一生続くものでした。伝統的に、男が長時間働き、一生のキャリアを捧げる会社で年功序列を得るものでした。一方、女は子育てで職場を離れるために昇給の無い仕事に置かれているのが典型でした。)

 

But today the lifetime employment system is breaking down, people are marrying later, more women are working and the birthrate is at its lowest level in history. Many young people work on temporary contracts or in part-time jobs where gaman counts for nothing.

(しかし、今日、終身雇用制度は崩壊し、人々の晩婚化が進み、より多くの女性が働き、出生率は歴史上一番低くなっています。多くの若い人々は契約社員として働くかパートタイムで働いています。そこでは「我慢」する意味など全くありません。)

 

そうですね。社会の様子が様変わりしたことで、人々の中の「我慢」に対する考え方が変わってきていますよね。

 

最後にこんな風に「我慢」が表現されています。

 The whole idea of gaman-ing here is completely maladaptive. You’ll keep your job by shutting up, but all the taught values of gaman that make sense for coherent and enduring social relationships no longer make sense.

今の時代では、我慢する事に対する考え方全てが全く(社会に)適応していないのです。黙っていることで仕事は続いていく。しかし、今まで教わってきた一貫した恒久的な社会関係に意味を持たせる「我慢」の価値が、もはや意味をなしていないのです。)

 

おっしゃる通り。そして若い人達の中では、そんな社会通念のようなものに縛られない生き方している人も沢山出てきていますよね。

 

●覚えておきたい表現●
seniority  年功(序列)
lifetime employment 終身雇用
birthrate 出生率
temporary contracts 一時的な契約(契約社員が会社と結んでいる契約)
maladaptive 不適応な(mal ~でない+ adaptive適応性のある)
make sense 道理にかなう
coherent 一貫した
enduring 恒久的な
 

聞かれそうな「我慢」のQ&A

よく聞かれそうな質問の答えを簡単にまとめました
Q 我慢ってなに?
A It’s the idea that individuals should show patience when facing difficult situations. 
(「我慢」とは、個人が、困った事に陥った時に辛抱強さを見せるべきであるという考えです。)

Q 具体的にはどんなことが「我慢」?
A Staying in an unpleasant job or tolerating an annoying colleague, or ignoring a noisy passenger or an elderly queue-jumper.
(嫌な仕事を続ける、面倒な同僚に耐える、うるさい乗客や年を取った列を乱す人を無視するというもの)

Q なんで「我慢」するのかな?
A Because Japanese people value not saying too much and suppressing negative feelings toward others.
( 日本人はあまり沢山ものを言わない事、そして他人に対する否定的な感情を抑え込むことを評価するからです)

Q 「我慢」して良い事あるの?
A  public expectations associated with gaman are a contributory factor in Japan’s low crime rate.
(「我慢」に関連した暗黙の了解は日本の犯罪率の低さに貢献しています。)

Q 「我慢」の悪い影響は?
A  Too much gaman has a negative impact on our mental health, which can cause psychosomatic disease.
(あまりにも我慢しすぎると、私たちの精神状態に悪い影響を与えます。そして、それが心身の病気を引き起こしたりもします)

Q 今も「我慢」は美徳なの?
A The whole idea of gaman-ing doesn't make sense these days. Some young people are choosing not togaman.
(我慢するという考えが、最近では、意味をなさなくなっています。若い人たちの中には我慢しないことを選ぶ人も出てきています。)

まとめ

日本人として日本で生きていると「なんでそんなに我慢するの?その我慢ってどこからくるの?」という疑問すら持たずにいる事も多いのではないでしょうか。でも外国の人には「謎」な行為。外国の人に説明するなら「我慢にはこういう起源があり、時代背景があり、我慢を美徳とする社会が生まれた。その我慢には良い所もあり悪いところもある。今は変わりつつある。」という風に説明すれば、「なるほど」と納得してもらえるかな、と思います。