今回は「学術系の記事(表を含む)を読み、その中から情報を取る」といった問題です。文章が堅いので、ちょっと読みにくいかもしれません。
今日は2018年度(2019年1月実施)のセンター試験より
「第四問のA、計4問」です。
まず、こちらで問題を解いてみて下さいね!↓
※PCは別ウィンドウで開きます
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2019/01/19/20190119hrc00m040001000q/0.pdf?1
それぞれの文の訳や問題の解説をしていきますので、ご参考下さい。
第四問 A
全体訳
芸術は人々の生活を反映しているかもしれない。研究者達は、芸術における衣服や社会的な背景の表現方法について今まで議論してきました。こういった考えが、家族の食事(一般的な食卓)を取り上げた絵画にも当てはまるのかどうかを知るため、ある研究が行われた。
研究者達は、1500年から2000年にかけての一般的な食卓を描いた140の絵画を調査した。これらは以下の5つの国ーアメリカ合衆国、フランス、ドイツ、イタリア、オランダーといった国で描かれた絵画である。彼らは、91の食べ物の存在についてそれぞれの絵画を調査した。その際、その食べ物が無い場合は「0」、ある場合は「1」という風に表した。例えば、一個かそれ以上の玉ねぎが絵画に出てきていれば、「1」とした。そして、これらの国々の、それぞれの食べ物を含む絵画の割合を計算した。
表1は、食べ物(選り抜き)を含む絵画の割合を示したものである。研究者達はこの調査から明らかになった事について論議した。まず、これらの国々の絵画のいくつかには、研究者が予想した食べ物が含まれていた。貝類はオランダの絵画で最も頻繁に描かれていた。オランダは、国のほぼ半分が海に接しているのだから、そうなるだろうと予想されていた通りであった。次に、研究者たちが予想していた食べ物を含んでいない絵画というものもあった。貝類や魚が、アメリカ合衆国、フランス、イタリアの絵画では12%以下しか見られなかったのだ。国の大部分が海に面しているというのに。鶏肉は、ありふれた食材であるが、絵画ではほとんど登場していなかった。3つ目に、研究者達が予想しない食べ物を含む絵画も見られた。例えば、ドイツの絵画の20%に貝類が含まれていた。国土のたった6%しか海に面していないというのにだ。加えて、オランダの絵画ではレモンが最も頻繁に描かれていた。レモンはオランダでは自生していないのにである。
【ここに表1が表示されています】
表1:絵画に見られる食べ物(選り抜き)の頻度の割合
以前の研究とこれらの結果を比較して、研究者達は、食べ物関連の絵画では、実際の生活が描写されているというものでもない、という結論に達した。研究者たちは、これに関していくつかの説明をしている。1つ目は、芸術家は、より広い世界における彼ら自身の興味を表現するために食べ物を描いている、というものだ。もう1つは、芸術家は、より難しい食べ物を描く事によって自分のテクニックを見せたい、というもの。例えば、レモンの表面や内面の複雑さが、なぜ絵画でレモンが人気なのかを表している。特にこの傾向はオランダの芸術家の間で顕著である。しかし、他の解釈も可能なので、違った観点から絵画を検証する必要がある。他の解釈とは、こういった絵画が完成された時代についてと、 食べ物と文化の結びつき についてである。これらの解釈については、いずれも次の章で取り上げることにする。
【問1】
答え ② 1
問の訳
この研究の「リンゴ」のカテゴリーにおいて、2個のリンゴと半分に切られた1個のリンゴが描かれた絵画は( )と表示されます
選択肢
① 0
② 1
③ 2
④ 3
解説
パラグラフ2で
The researchers examined each painting for the presence of 91 foods, with absence coded as 0 and presence coded as 1.
(研究者達は、91の食べ物の存在についてそれぞれの絵画を調査した。その際、その食べ物が無い場合は「0」、ある場合は「1」という風に表した。)
とあります。ので、「ない」か「ある」だけで、コードが決まるわけです。1個あろうが、2個半あろうが、コードは「1」です。
英語的には
absence →欠席、まったくないこと
presence→出席、存在する事
が分かっていれば解けたかな、と思います。
この二つの単語は語尾が全く一緒だし、セットで覚えとくやつですよね!
【問2】
答え 4 Italy included onions at a higher percentage than the German ones
問いの訳
文章と表1によると、( )。
選択肢訳
① フランスの絵画はドイツの絵画よりリンゴが含まれる割合が低かった
② フランスの絵画はオランダの絵画よりチーズが含まれる割合が高かった
③ イタリアの絵画はアメリカの絵画よりパンが含まれる割合が低かった
④ イタリアの絵画はドイツの絵画より玉ねぎが含まれる割合が高かった
解説
これは、1つ1つ、表で確認して情報を取り出す問題ですね。表現は難しくないのだけど、一応全部チェックしないといけないのでイライラしそう。まあ、若い子はその辺りサッと出来るのかも。年を取るとこういう情報をとる問題に異常に時間がかかる…。
【問3】
答え 2 fish appeared in less than one tenth of the Italian paintings though much of Italy lies next to seas
問い訳
文章と表1によると、( )。
選択肢訳
① 鶏肉はアメリカの絵画で頻繁に登場した。なぜなら、とこでは人々がしばしば鶏肉を食べていたからだ
②イタリアの国土のほとんどが海と隣り合っているけれど、イタリアの絵画で魚が登場するのは、その10分の1にも満たなかった
③レモンはオランダに自生しているので、オランダの絵画の半分以上にレモンが登場していた
④5か国全ての国のそれぞれの絵画の半分から貝類が見られた。いずれの国も海に面しているからだ。
解説
1つずつ見ていきましょう。
①は表で違うのがよく分かりますね。鶏肉はアメリカでは0.00ですから。
②表で確認すると、イタリアで貝類は4.00です。確かに10分の1に満たないですね。(10分の1=10%=10.00 )。しかもイタリアの国土は海に囲まれてますから、この文章に矛盾したところはありません。なのでこれが正答。
③パラグラフ3に Also lemons were most common in paintings from the Netherlands, even though they do not grow there naturally. (加えて、オランダの絵画ではレモンが最も頻繁に描かれていた。レモンはオランダでは自生していないのにである。)とありますから、自生しないんですよね。だからバツ。
④表で確認すると、確かに全ての国で貝類は描かれています。それに確かに全ての国が海に面しています。が、全ての国で「半分の絵画」に描かれているわけではありません。(半分=50%=50.00)
英語的には
one tenth = 10分の1
が分からないと解けませんね。分数の言い方はよく使いますので覚えておきましょう。
英語は先に「分子」を言います。これは 普通の数え方 one, two,three...
そして次に「分母」を言います。これは 序数 third , fourth , fifth...
例)4分の1=one fourth
※2分の1は one half というように half を使います
※ one の代わりに a を使う事もあります
そして、もし「分子」が複数なら「分母」を複数形にします。
例)2分の3=two thirds
【問4】
答え 3 indicate the painters' artistic skills and abilities
問い訳
パッセージによると、これらの絵画の食べ物は( )。
選択肢訳
①画家の歴史的な知識を表している
②自分の国に留まっていたいという画家の願いを示している
③画家の芸術的な技術や能力を示している
④画家の地元への食材への愛を反映している
解説
1つずつ見てみましょう。
①は、どこにも書いていない…。パラグラフ4の最後の方がしっかり訳せなくて、何となくここに書いてあるのかも!と思った人も居たかもしれませんね。
②これもどこにも書いていない…。
③これは、パラグラフ4で painters wanted to show their technique by painting more challenging foods.(芸術家は、より難しい食べ物を描く事によって自分のテクニックを見せたい)とあるので、これが正答。
④地元にない食材なども描いているので(オランダにはレモンが自生してないのにレモンが題材として頻繁に取り入れられている)、これは無いと思う。
パラグラフ4をしっかり読み解いていないと誤答してしまう可能性がある問題ですね。特に後半ここが難しかったかな。
As other interpretations are possible, it is necessary to examine the paintings from different perspectives.These are the period in which the paintings were completed and the cultural associations of foods.(他の解釈も可能なので、違った観点から絵画を検証する必要がある。他の解釈とは、こういった絵画が完成された時代についてと、 食べ物と文化の結びつき についてである。)
●As は「~なので(理由)」を表す接続詞。
●from different perspectives 違った観点から
●二文目冒頭、These はother interpretations のこと
●the period in which the paintings were completed が1つ目の解釈。the cultural associations of foods が2つ目の解釈。1つ目は「これらの絵画が描かれた時代背景」って事ですよね。歴史にあまり明るくはありませんが、中世では絵画は「好き勝手描くもの」ではなく、「一つ一つのモチーフに意味があった」時代かな、と推察しています。これを考慮に入れて考察しようとしているって事ですね。2つ目は、ちょっとよく分からないのですが「食べ物と文化が結びついていて、その背景から絵に描かれる食べ物が決まってくる」という考え方からアプローチしようという事ではないか、と思っています。どちらについても、次の章で説明されてるんですね!次の章を読めば、この辺りが明らかになるってことです。気になります!(笑)
まとめ

こういう表を照らし合わせたりする問題は年取ると辛い(笑)。
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